インドネシアにおける大学進学率は約28%です。
大学進学率は年々増加しており、ジャカルタなどの都市部ではその傾向が強いというものの、現在でも短大を含め進学率は約36%という現状です。
今回は、インドネシア人の大学生活、彼らの就職事情についてご紹介します。
◇インドネシア人大学生の住居◇
日本の大学生同様、ジャカルタでは地方を離れ一人暮らしする人が多くいます。
一人暮らしの大学生はほとんどの場合、「コス(kos)」と呼ばれる住居に住んでいます。「コス」はシェアハウスのような形態で、比較的安価 (約1万円~約3万円)で住むことができるため、大学の近くにコスを借りる場合が多いようです。
◇お財布事情◇
日本とは異なりアルバイトをしている大学生は少なく、多くの場合、両親からの仕送りで生活をしています。日本の大学生のように、アルバイトや奨学金で賄いながら、学業を続ければいいのに…と思うかもしれませんが現実はそんなに甘くありません。大学生がアルバイトをしない(できない)理由として、筆者が考える以下3点を紹介します。
①大学生以外の安価な労働力
前述のように大学進学率が28%にとどまっているという事は、中卒や高卒で働いている人たちが大多数になります。そのため、企業側から見ればフルタイムで低賃金の労働力を確保し易い状況にあります。大学生のように授業のない時間帯にしか働くことができない高学歴パートタイマーに高賃金を支払い働いてもらう必要があまりありません。
②「3K」問題
インドネシア語で3Kは”Kuliah(講義) – Kafeteria(食堂) – Katil(ベッド)”の意味で使われています。これはインドネシア人大学生が『講義を受け、食堂でご飯を食べ、帰ったら寝るだけの勉強漬けの生活』を問題視する言葉です。学生は学術的成果に囚われて、学業以外のことに時間を割く余裕がありません。欧米・日本のようにボランティア活動等の課外活動は社会に出も評価されにくい傾向にあります。
③親世代の価値観
比較的裕福な家庭しか進学させてあげられないという実情が、「学生にアルバイトをさせるのは可哀想」と考える価値観に繋がっています。払った対価分だけ『学生期間はとにかく勉強をすべき』という価値観を持っている両親が多いようです。これはインドネシアに限らず他の東南アジア諸国でも共通する考え方です。
◇就職活動について◇
インドネシアでは日本のような新卒一括採用はなく、大学を卒業した後に自分自身のタイミングで就職先を探し始めるのが一般的です。インターンやアルバイトなどをしてから卒業後数か月~数年以内に就職するケースが多いです。
また、インドネシアには日本の「就活サイト」のようなものはありません。就職先の探し方として最も多いのは家族や知人からの紹介です。都会であるジャカルタといえど、コミュニティの関係性は良い意味でも悪い意味でも『ムラ社会』の風潮が残っています。口コミ文化の根強いインドネシアでは、就職においてもコネクションが非常に重要になっています。
実際に、コネや賄賂を使って、就職試験をくぐりぬける学生もいます。現地の大学生に聞いてみても、成績が良くても”コネ”と”カネ”がないために大企業には就職できなかった学生や、反対に、成績があまり良くなくてもコネ就職で良い企業に入ることができた学生など、公平とは言えない現状が多々あります。
今後はこのような就職の不平等さを解消していくことも、インドネシアにおける大きな課題と言えるでしょう。
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